東京大学の児玉龍彦教授。除染のために、週一度、朝6時に起きて片道5時間かけて南相馬市に除染に出かけているという。ボランティアで。マジでえらいと思った。 専門家としての責務だという理由で。 おなじみ児玉教授の迫真の訴えに、つい涙が出そうになった。彼の行く先で待ち構えるのは途方もない量の汚染された集落、森、川。まさに果てしなき戦いである。 この番組を見て印象に残ったのは、SPEEDIを公表しなかった経済産業省の原子力安全委員会の「いい訳」。 曰く、「入力されていないデータがあったため」。児玉教授は驚く。そもそもSPEEDIはスーパーコンピュータの「予測システム」。 ないデータを予測するのが目的なんだから、データがそろってないのは当たり前。なんのためのスーパーコンピュータなのか。そんなだから仕分けられるのでは? 国民の安全を守るためという大義名分はすっぽ抜け、ツールの使い方も目的も役人も政治家も理解できていない。 だから、SPEEDIが示した放射能がより高いところへ、低いところからわざわざ人々を避難させて、よけいな被爆を加速させた。「原子力安全委員会の人たちにはそもそも能力がない、そういう人たちが除染をするってったって、私は絶対に信用できない」 寒気がした。こんな役人が、これから、広島原爆168個分もの放射能の始末をすることになる。 もう一つ印象に残ったのは、除染したあとに出る膨大な量の放射性廃棄物の問題。どうすんだマジで。あとで言うけど小金井市生ゴミ問題と同じじゃん。除染ゴミは国が責任を持って対処するということになっているそうだが、大量のゴミをどこに最終的に捨てるか、いまだ場所も時期も決まっていない。 これ、決まるわけないと思う。 小金井市のゴミ問題と同じで。 小金井市では、「市長の失言が原因で」(このカギ括弧は私はそうは本当の原因はこれだとは思っていないという意味である)生ゴミがまもなく、収集されないまま町にあふれる事態を迎える。 東京都廃棄物条例に書いてある文言(ゴミ処理のために都知事は関係自治体の調整を図らないといけない)を、私が東京都の関係部課に訊いて返ってきた答えはこうだった。 自治体が嫌だというものを、都も国も無理に押しつける権限はない──。 地方分権の時代にある意味それはそうだろうと思ったものである。