ネクロフィリアとそれゆえのベーシックインカムしかない

人は、死が怖い。というのも、ちょっと考えればわかると思いますが、そもそもどうしてこの私が今この時代に生まれたのか。その問いに対する答えが全くない。

両親が盛り上がって性交して細胞が生まれて分裂して出産されてどうのこうの。それはもちろん答えじゃないですよね。

問いの原因は、そもそも人の持つ想像力というリソースが、将来への不安つまり、死の恐怖にバーッと投入され、無限の不安ループにとらわれているという、人が人である所以の本性にありますよね。

死ぬってことが分かっている以上は、もうそれはとてつもない不安をいくらでも心の中に作り出すことができるんです。

で、金なんですけど、金ってのはもともと共有地の悲劇、あるいはホッブスの自然状態の問題をゲーム理論的に解決する過程で出てきたものです。つまり、長期的には人類はみな反映したい。もし、文明以前の状態なら、資源の奪い合いが起こって殺し合いが起こって全部みな死ぬってことにしかならない。ゲームオーバーです。それじゃあプレイヤーみんな不幸ですし、先がない。だから、人は国家とか所有権という「柵」を作って、その中で再分配したり、資源が持続するように協力したり、そしてすぐに、別の柵の中で余っているもの当地で余っているものを交換し始め(交易)、お金が出てきたらもっと便利に、お金を媒介にして需要と供給のアンバランスを調節でき量になった。お金として持っておけばその時に需要がなくても、いつでも大丈夫から。

国家とか、貨幣が、人間の不安を解消するのに役立った。

でも、今、貨幣は本来の役割を超えて、まあこれは資本主義の欲望増殖の運動のせいなのだが、一部の人に富が集中するようになってしまった。

新しい不安というか、資本主義という制度に内蔵された欲望喚起システムが、一方で数限りない不安を作り出しているんだと思います。

それで、『悪について』というエーリッヒ・フロムさんが書いた本があります。この本によると、人間が備え持つ悪の本性は三つあると。それはナルシズム、ネクロフィリア(バイオフィリア)、母親への共生的固着だと。

大体、見た感じやばいなってことはわかってもらえると思う。ただ、ネクロフィリア(ばおふぃりあ)は何だろう。これひとことで言いますと、死を愛する(生を愛する)という意味です。

え?死を愛するって?そんなわけないじゃないかって普通は思いますよね。じゃあ、社会はなんで、次のような状態を放置するどころか、場合によっては熱狂的に支持するんでしょう?

・大量虐殺
・戦争
・(場合によっては死ぬかもしれない)いろんなリスク=スポーツなどの娯楽
・人が死んだニュース
・死ぬ危険があるのに合法的に販売される商品
・「死ぬほど○○だった」という言葉
・オタクの間でサバゲ―大流行
・自殺や自殺未遂

フロイトは人間には制への努力と同じくらい死ぬ努力をする性質が備わっているって言ってる。これ別に違和感ないです。なぜなら、細胞は死なないと困る。不良な細胞は死なないとがんになったりして結局個体の破滅につながる。細胞が集まってできる人間一個体で見たときに、その個体が死ぬための「能力」を持ってるって、別に不思議じゃない気がしますよね。人間を構成する細胞がそもそも全部死ぬ機能を持っているんだから。それが集まった人間だって死ぬだろうってことです。

私が強調したいのは、じゃあ、それでそのまま、ネクロフィリア的な性向を放置して差し支えありませんか?ってことです。もちろんダメでしょう。

今の時代、ネクロフィリア的な性向は、ゲーム産業によって、物心つかない子供のうちから欲望刺激され続けている気がします。ゲームの中で、キャラクターは婉曲にこういうイデオロギーを子供にインストールし続けます。

もっと殺したい。死を見たい。そうだろう、じゃあどうだ、これはどうだ、こんな死に方、殺し方は?最高だろう? 次の新製品では、もっとクールな、フォートナイトを超えるやばい「死」がたのしめるぜ。はいサブスク代月980円(税別)ね、ヨロ!

こういう形で、子供の欲望は刺激されます。親としては勘弁してほしいなと。もちろん、愛への欲望とか、協力したり知的な教養の蓄積のためのゲームもありますから、全部のゲームをそうだというつもりはない。問題は、世界の最優秀知性を占有するGAFAがこぞってこのゲーム産業に巨額を投入し、人間の欲望を極限まで使って儲けようとしていることです。

一番儲かるのは、たぶんネクロフィリア的欲望を充足させるコンテンツなんだろうと私は思います。わたしは、ゲームをやりまくった人が人を殺しやすくなるとは思いません。そうじゃなくて、心配しているのは、ネクロフィリア的欲望におぼれているうちに、共有地の悲劇みたいなことに社会が文明後退をしやしないかなってことです。

それが不安です。政治家もすごい不安に駆られて、不倫したり、友達だけに利益を供与したり、自衛隊を海外にアメリカの言いなりでどんどん出すようになったりしてます。自衛隊員はより死ぬ危険が増えているのに、為政者はそれを問題視しません。

親としてはそんな為政者は到底看過できませんし、その為政者を選んでいる国民の状況はやばいなと。そう思って書いているんです。そのやばさの原因が、どうやらネクロフィリア、とか、不安にあるのではないかと。

ですから、これからもっとGAFAによってどんどんまずくなる一方なので、ここできちんとベーシックインカムなり、もっと効率よい社会保障政策をつかって、人々の不安を解消しないといけないと思います。


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