この自己啓発動画のどこが問題か?

 典型的な情弱向け自己啓発動画を見つけたのでいじりたい。

この動画で言われている、エッセンシャル思考(背水の陣)について説明しよう。

「成功のためには、朝から晩までそれだけをやる。それ以外のことは一切やらない」

あとほかに、失敗のとらえ方についても触れている。「失敗は消去法」(すぐ次に行く)。

これはいずれも、これだけ見ればまあその通りかもしれないといえる。しかし、いざ生活のなかに明日から取り入れて、成功を目指すことがほとんどの人に出来ないのはどうしてか。私の場合はこうだ。

朝起きて、成功のためにやろうとしたことを絞って、次々とこなし、失敗したら即座に次の選択肢を試す? そんなコトしたら家族がキレて終わりだろう。成功とか寝ぼけたこと言ってないで、早く皿洗え、支払伝票処理しろ、掃除しろ、猫のエサかってこいと。後段はひどいにせよ、成功=寝ぼけというのはまさに真実だ。

そもそもデフォルトで目的に設定されている「成功」が意味不明。私にとっては「成功」というのは、すでにもう済んだ話だ。具体的には、浪人して大学受験をしてかろうじてまあ受かってそれであらかた燃え尽きた。30年ちかく前の話だ。今、灰。真っ白ふわふわ。江戸時代だったら普通に死んでるこの40代の「余生」を、子どもの成長などめでつつ毎日の家事育児雑事に忙殺されてかろうじて生きているっテコトー。

成功とかはもういい、これでだいたい満足している。だからこのチャンネル登録者数というのが、十万行かないで、数万規模でじりじりしているのではなかろうか? 何かキツいことをやれば巧く行くとか、言っているけど、そんな無理しなくても今のままであらかた楽しいし問題ない人は多いのでは?(古市憲寿)

成功について、わたしが勝手に淡泊になりすぎ? 違う違う。デフレってのは要は社会全体が私みたいになっちゃってる状況だったろう。金利がこれだけ低いのに借りる人誰もいない。商売の見通したたないから。政府中央銀行がせっせと金を入れる株式市場だけが不気味に高騰するだけ。怖! もはや成長も成功ももう無理ってこと。だいたいいまの経済状況のなかで、人も減るし、利益率のおいしいビジネスは世襲や既得権益の大企業が寡占しているし(そういう連中すら今回の感染症のせいで死にそうだ)、成功って、普通に考えて無理だろう。何かやって成功する環境じゃないことくらい分からないならそれはヤバいぞ。

根本的に、この「成功」という薄ぼんやりしたフィクション(ハラリ)を自明のゴールにしていること、これはほとんどすべての自己啓発モノに共通した危険な視座。目標設定がおかしいんだから、そのための手段がいくら語られようと(サブスク著作権フリー素材の映像とか音楽で盛ろうと)、人は動かないだろう。

娘とか、身内、あるいは自分の経営する会社の関係者や仕事先の上司が、こういう動画にハマっておかしなことを言い出さないことを願うばかりだ。ホント想像しただけでいやだ、こういうことを言われるのは。

成功なんてものはない。あるのは目の前にあって永遠に続く「クソみたいな仕事(ブルシットジョブ」だけ。これ思考停止でどんどんはかどるしくみをむしろ私は今考えていて、ようやく具体的な計画が出来てきた。それは後日。

私の心境を代弁する、上記動画と対極ともいえる動画を下に貼っておこう。積極的ニート人生を選んだ在野の哲学者ネオ高等遊民さんの、ニートである理由。


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