労働者協同組合法、労働契約、雇い止め、解雇あれこれ【2020年最新】――人を雇うのは十分慎重に。最長5年は死守

 先般、労働者協同組合法が可決成立し、これまで、たとえばごうどうがいしゃなりかぶしきがいしゃは 出資者と労働者が分けられて事業を運営してきたが、この組合法では労働者が出資も経営参画も労働も主体的に出来るようになった。

労働者仲間が集まって組合を作り、出資をし、仕事をして、そして、労働契約に基づいて組合から給料をもらうことが出来る。どういう仕事をするのか、どういうペースで何を誰がやるのか、給料はどう分配するのか、そこは組合員は出資額の多寡に関係なく、平等に発言が認められるので、とても民主的だ。

労働基準法にもとづく労働契約という一応のセーフティーネットもあるので、組合員同士の仲間割れとか不仲が発生して、ひとりがとても不利になったりしても、裁判上の請求が出来るところは安心だろう。

ただ、わりと非営利的な、地域のニーズ解決や地域の活性化に資するような事業が想定されているこの組合。組合員に安定的に給料を払い続けられるようなしっかりした事業見通しは法人設立に先立って必要不可欠だろう。

また、当初は順調にいっていた事業も、たとえば6年7年たって厳しくなってきたり、先ほどからくり返すが組合員同士のいざこざ、人間関係の問題から、組合員に辞めてもらいたいという事態も十分考えられる。

そのときに問題になるのは、漫然と雇用契約を更新してきて、それで5年以上たった時点でそれでも本人が引き続き雇用契約を更新してほしいと申し出てきたときは、法人はその労働契約を無期に切り替えなければならないことだ。

有期契約の終了について詳しくはこちら

東京労働局の無期転換のルールに詳しい人に聞いた。こうした事態(つまり五年で無期転換)を避けるためには、次のような方法しかないという。

  • 毎年、雇用契約更新をしっかり行い、その際、更新は例外なく5年を上限とすると毎回確認する(あと何年まで、ということが毎回確認される)
  • 最後の年の有期雇用契約は、例外なく更新しない
世知辛い…。仲良しどおしで始めた事業でこれやったら微妙な空気だな……。

こんなの(毎年の、厳格な契約更新)面倒だという場合は自動的に無期契約となるが、その状態でお辞めいただくには、「解雇」する必要がある。ところが今の日本では、解雇は基本的には出来ないとされている。出来ないという意味はどういうことかというと、それをやったら、解雇される側から訴えられて、裁判になり、裁判では不利な判決しか出ないとそういう意味である。

解雇出来ない、という件について詳しくはこちら

五年も一緒に仕事してきたのに、ずっと有期の労働契約って、ヒドくね? ってのが、そもそも労働基準法の法の趣旨だからまあ、ねー。ただ、経営者としてはなー。市場は何も約束してくれないんだぞ!!

労働者協同組合法に話を戻そう。この法律では、組合は、全組合員数※の五分の四以上は、事業に従事しないといけないと定められている。しかもその事業に従事する人のうち、四分の三は組合員でないといけないとされる(多重下請けができない)。

事業に従事する組合員は、組合と労働契約を結ぶ必要がある。労働組合を結ぶときの問題点は前段で縷々述べたとおりである(つまりクビにしづらいか、あるいは出来ない)。ほかに、最低賃金を払わなければならないし、週40時間以上働かせてはいけないし、有給休暇も必要、もちろん、社会保険には絶対に加入しないといけない。

え、その事業やるのに、そんな金ある? そんなに儲かるようになる? いつまで続けるの?

よっぽど「固い」見込み(たとえばぶっちゃけ、組合員のひとりがとてつもない金持ちで、いきなりぽんと数億円を出資してくれるとか)がなければ、おいそれとははじめることは出来ない。少なくとも、気が合う仲間たちと、無料の貧困層向け塾の経営とか、地域のお困りごとを解決するような小規模な商いレベルでは、この組合はまったくもって必然性、必要性は皆無だ。

※総組合員数…組合員には、事業に従事する組合員、理事、監事の三種類がある。理事、監事も組合員である。なお、理事、感じは役員であるので、法人税の縛りから、報酬は定期定額でなければならない(年の途中で変更できない)。

なんか、地域のために小商いとか、ボランディアやるんだったら、もうぜんぜんこんな法人にする必要ないっテコトー。

組合を設立して何かやるにしても、最長5年で終わるようにあらかじめセットしておくのが「吉」だなまちがいないな。

あとさらにいうと、ていうか、使用者側ではなく、被雇用者(労働者)の立場で考えると、この人を5年以上雇えなくする法律ってのは、確かに人材獲得コストが高い社会だと経営者に厳しいけれども、労働者の流動化には大いに役に立つ。魅力的な労働環境を使用者が競うように、ととのえていくようになるはずだ。そうしないと、5年のあとの次が来ない。そう考えると、長期的には、雇用者がどんどん自由に職場を選べて、そして雇用環境ももちろん良くなっていくという風になる。これは親としてはすばらしいことだ。

終身雇用はもう無理なわけで、それをなんとか変えたいと。その財界のニーズを、うまく労働者の人権や自由に配慮しながら、法で社会の変化をうながしていこうとしている、まさにこれはナッジかも知れない。

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