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『実力も運のうち? 能力主義は正義か』サンデルを読む

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  kindleで読んだんですけどこの本。本田由紀先生も解説に書いてあったが、能力と言うより、功績というふうに読み替えた方がより原書のニュアンスに近いようだ。 この本でもとにかくあらゆる現代社会の不条理があげられている。また、アメリカンドリームだとか、それこそ、がんばった人が報われる的なイデオロギーが私たちを支配しているという指摘はこれはなかなかに慧眼だ。 がんばって受験勉強を勝ち抜いて、一流大学を卒業して金融機関などに就職し、ほかの人たちよりも高額の給料を受け取る人たち。そういう人たちがいてもまあいいっちゃいいんだが、問題は、そういう人の「功績」がまるで正義のように位置づけられるところだろう。道徳的によろしくない。なぜって、受験勉強で失敗し、高卒中卒で、非正規やアルバイトの人がそうなったのは彼らが「悪」だからってことになりかねない。誰も言っていないが、本人たちは、エリートに尊厳を傷つけられ続けているように思い込むようになる。その証拠が、イギリスのブレグジットであり、トランプ誕生だったというわけ。 なお前パラグラフで一部不快な表現を使用いました、これはサンデルの訴えを端的に伝えるために便宜上、選んだ表現であり、特定の読者を傷つける意図はまったくありません。またもし、不愉快に思った方がいらしたら心からお詫びします。 功績がある人たちだけが、たとえばゲーティッドコミュにティみたいなところに排他的に引きこもって、その他大勢の人たちは知ーらない、ってのは民主主義社会が持たない。 まあ普通に考えてその通りだが、それを現代社会の縦横から具体的事象を取り上げて、ホラ見ろホラ見ろとサンデル先生がたたみかけてくる。 ぜひとも、功績を勝ち得た本当に一部の人たちに読んでもらいたいものだ。 ただ、こういう内容がすばらしい本を大学で学生に読ませたりすると、どうにも「課題」とか「リポート」とかが付随せざるを得ず、そうすると、高尚なコンテンツに触れる体験が単なる単位を取るための「作業」になってしまう。 それは、大学という機関が、学問を究める場所というより単なる「学士号」を取るためのそれこそ能力主義(エリート)を量産する装置になってしまっているからだろう。最近は大学の学歴も陳腐化してしまって、目も当てられないことになっているが、位置付けは変わらない。就職活動とか、楽勝科目とかあるっていってるし。